平常運転

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BanG Dream! バンドリ 小説版は2015年版のバンドリの美しいスナップショットである

普段あんまりこういうタイトルでブログを書かないけど、たまにはこういうタイトルで書こうかなという気持ちになった。お酒を飲んでいます。

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今期ついにアニメが放送されるメディアミックス企画のバンドリなのだけど、去年の8月に"原典となる小説"が発売された。買うだけ真っ先に買ってずっと読んでいなかったのだけど、電車の中で時間があったので一気に読んだ。女子高生バンドもののストーリーとしてもふつうに良い物語だったし、2016年(厳密にはブシロードライブの時だから2015年12月かもしれない)にキャラ設定をリブートする「前」である2015年版(と便宜上呼ぶことにする)のバンドリの設定とストーリーやイラストが一冊の本にまとまっていて、2015年版のバンドリを2016年にきちんと商品として手に取れる形で世に出たということが、2015年からバンドリを追いかけていたひとりのファン(バンドリーマー)として非常に感慨深いし思い出深くて、だいぶじわーっとくるものがあった。

BanG Dream! バンドリ

BanG Dream! バンドリ


この小説の刊行直後に公式で感想文コンテストが開催されていて(当然すでに終わっている)本当はこの時期に感想を書きたかったのだけど、なかなか読む機会が無くて結局翌年になってしまった。
gs.dengeki.com

アニメが始まってしまうとどうしてもアニメのキャラクターやストーリーの印象が強くなってまた受け取り方が変わってしまいそうだったので、アニメの前には読んでおきたかった。ということでこのタイミングに間に合ってよかった。

物語としてのバンドリ

売り文句とかにも書いてあるように、この単行本に収録されているのは"原典となる小説"である。いちおう小説としては書き下ろしで、最近の新曲が登場したりという2016年的な要素もあるのだけど、2015年当時のキャラ設定やメディアミックスで描かれていたストーリーを小説化した物である。なので、2016年版であったり、この先もうすぐ始まるであろうアニメのストーリーとは違うところもたくさんある。
2016年版のバンドリしか知らなかったり、あるいは僕のように2015年版から追っていてもすっかり2016年版の印象が定着した人間からすると、2015年版の特にキャラ設定なんかは違和感があって最初はびっくりすると思う。"行動的で、常にポジティブ"どころか普段は根暗そのものだけどギターを握るといきいきする香澄、ツンデレというよりは積極的に香澄のプロデュースをしようとする有咲、ふしぎな忍者キャラのりみ、なんか口調の不思議なたえ。沙綾は割と変わっていないかも。父親世代の残した曲(Yes! BanG_Dream!)を軸にメンバーが集まっていくストーリーは青春学園ものと思うと少し華がないけれど、Yes! BanG_Dream! と STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜 の歌詞とリンクした、 Poppin'Party というバンドのたしかな物語だった。とくにギターやバンドに関する描写も派手ではないけどきちんとツボを押さえていて胸が熱くなるし、最後まで読み終わるとつい自分もオリジナルバンドやってみようかなぁ、とか思ってしまった。

思い出としてのバンドリ

そういう、独立した一本の物語として読むのもとても良かったのだけど、タイトルや冒頭にも書いたように、2015年版のバンドリをみていた人からすると2015年版の設定やストーリーが懐かしいし、同時にキャラクターとリアルライブがリンクするという謳い文句を体感したりして、ストーリーの良さとまた別の次元で、2015年版のバンドリの思い出のスナップショットとして非常に感慨深い物だった。

まずひと和先生の表紙や口絵のイラストから良くて、もともとバンドリの公式イラストやキャラクターデザインはひと和先生のイラストで、2016年版になったときに仁多マツコさんのキャラクターデザインに刷新されたという経緯がある*1。なので、ひと和先生のバンドリのイラストというのは2015年版のバンドリのビジュアル的な象徴であって、それが2016年発売の本書のイラストとして収録されているのはある意味自然な形であるし、同時に感慨深い。

各章の表紙に Poppin'Party のメンバーのプロフィールが出てきて、そこに各キャラのキャッチフレーズ*2が書いてあるのだけれど、そのキャッチフレーズもリブート前には公式サイトやラジオなどでよく見聞きした割にリブートで消えてしまったフレーズばかりで懐かしい。また、特に僕が初めて見に行ったバンドリのライブは2ndライブ(「楽器×女子=正義!」)だったので、その場で発表されたキャラ設定の話を思い出す、というのもあった。

また、2015年のバンドリのライブは 1stライブで愛美さん伊藤さん西本さんの3人が集まり、2ndライブで大塚さんが加わり、4thライブで大橋さんが加わって5人揃ったという流れで、これがストーリーでのメンバーの増え方とリンクしてキャラクターとリアルライブがリンクしていたのだけど、改めて後からこの小説でストーリーを追いかけることで、2015年のライブのことを時折思い出すところがあった。そう思った箇所はいくつかあったのだけど、一番印象的なのは終盤でドラムの沙綾が加わって最初に演奏したシーンは、 4thライブで大橋さんの生ドラムが入ったときに曲のライブ感がぐっと変わったときの感想を思い出してぐっとくるものがあった。バンドリのキャラクターと〜という謳い文句は前々から勿論知ってたし意味は分かっていたけれど、初めて自分の体験とストーリーがリンクする感覚を自分で感じたと思う。

やっぱり生ドラムが入ると曲のライブ感がぐっと高まるし、これでこそバンドなんだよ、とも思った。

BanG_Dream! 4th Live「ようこそ!ぽっぴん☆PARTY!!!!!」に行ってきた話 - 平常運転

読みました

今現在、生きているバンドリの情報やコンテンツとしてこの2015年版のバンドリに触れられる機会はこの小説以外にほぼない。今のライブやメディアミックス、そしてもうすぐ始まるアニメや春からのゲームでもきっとこの2015年版のバンドリに出会うことは望めなさそう。まあ今の2016年版のバンドリも好きなので、今得られるコンテンツが2016年版のバンドリであることには別に異存はないのだけれど、2015年に展開されていて、当時のぼくたちバンドリーマーが追いかけていた2015年版のバンドリが現在手に取れる形になっているのは嬉しいことだと思うし、あの2015年のバンドリの思い出を語るスナップショットだと思う。そういう2015年のバンドリを知る人たちには是非手にとって欲しいし*3、それとは関係なくふつうにバンドリが好きな人、興味のある人にも手にとってもらえるときっと楽しんで読めると思う。

*1:公式サイトによるとひと和先生の今のクレジットは「キャラクター原案」になっている。ちなみに著者の中村航先生は「ストーリー原案」。

*2:「蔵だしツインテール」とか「うさみみサンダーボルト」、「三刀流」とか

*3:そういう人はもう持ってそうだけど…