平常運転

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THE THIRD(仮)1st ライブに行ってきた

バンドリから飛び出した3つ目のリアルバンド、 THE THIRD(仮)のファーストライブに行ってきた。正直チケット抽選外れるだろうと思っていたけれど運良く当たって行くことができたこのライブは鮮烈な THE THIRD(仮)の1歩目で、本メンバーが4人揃って我々に初お目見えした出会いであり、同時に THE THIRD が旅立つための別れがあり、そして熱気に満ちあふれてガルパ楽曲漬けになれるとても素敵なライブだった。

THE THIRD(仮)

そもそも THE THIRD(仮)とは、って感じだと思うので、ライブ前の予備知識を軽く説明しておく。
バンドリこと BanG Dream! では劇中のキャラクターのバンドの楽曲を実際に声優さんが演奏するリアルバンドが Poppin'Party と Roselia のふたつあり、どちらも精力的にライブをしている。一方で劇中の全てのキャラクターバンドに対応するリアルバンドがある訳ではない。今年の1月のライブイベント"ガルパライブ"では Poppin'Party と Roselia 以外のバンドの曲も歌われたのだけど、その時には女性アーティストや声優さんによるバックバンドが演奏した。そのバックバンドメンバーによって結成されたバンドリみっつめのリアルバンドが THE THIRD(仮)というバンド。

そしてバックバンド。バンド組以外はてっきりカラオケ音源かと思っていたのだけれど、どうにも見覚えのあるメンバーによってなんと生バンドのバックバンドが入っていた。大塚さんは Poppin'Party でも出演していたから八面六臂である。 RAYCHALL さんがベース弾いてるのなんて豪華なんだと思っていたのだけれど、2日目にこのバックバンドメンバーによる新バンド THE THIRD(仮)の結成が発表されて、RAYCHALL さんベースボーカルというのを見てやっと腑に落ちたようなところもある。 大塚さんが Poppin'Party 以外でギターを弾いてるのを見るのは去年4月のブシロードライブ以来だったけれど、 Poppin'Party でのステージと変わらず大塚さんらしいところもあれば、これは Poppin'Party ではセーブしていたところだろうな、という面が見えたりもしてお得な気持ちだった。

ガルパライブ&ガルパーティ!in東京に行ってきた - 平常運転

Vo+Ba の RAYCHELL さんと Dr の夏芽さんはバリバリのミュージシャンで、最近再結成した SHAZNA の新メンバーでもある。 Key+Vo の倉知玲鳳さんは声優さん。元々バックバンドでは Gt は Poppin'Party の Gt 花園たえ役でもある大塚紗英さんが弾いていたのだけど、 THE THIRD(仮)には正式メンバーとしての参加ではなく、今回のライブのゲストとして参加している。
経緯が経緯というのもあって、"キャラクターとリアルライブがリンクする"が売り文句のバンドリのバンドだけれども THE THIRD(仮)にはリンク先のキャラクターもいないし、さらに言えばバンド名ですら"(仮)"であって、本当にただバンドだけがあるような状態で発表されたのがこのファーストライブだった。とりあえず予備知識ここまで。
以下の節ではバンド名の"(仮)"は適宜省いて表記します。

始まりの場所と始まりの予感

そういう状況で開催されたファーストライブの会場は、バンドリの本当に最初のライブ会場でもあった下北沢GARDEN。500人も入れば一杯になってしまい、いくらキャラクターバックグラウンドのないスピンオフバンドとはいえ、今やビッグコンテンツとなったバンドリのファン層(と、 Poppin'Party のメンバーがゲスト参加していること)を考えると圧倒的に小さなこのライブハウスがファーストライブの会場になった。チケット抽選に当選した身からすれば*1この会場選びだけでも、何か新しい物が始まるぞという高ぶりが感じられたのだけれど、それ以上に今回のライブビジュアルにあしらわれていた手描き風のバンドロゴに心躍る思いをしていた。まだコンテンツ名に _ が入って "BanG_Dream" だったバンドリ極初期のロゴに通じるこの手描きテイスト、そして下北沢GARDENでのファーストライブというのは、バンドリ初期へのオマージュじみたものが感じられて(実際どこまでがオマージュでどこからが偶然なのかは知らないけれど)、ここから何かが始まる第一歩になりそうな予感がひしひしと漂ってきてワクワクしていた。

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ライブとステージ

今回ぼくは入場整理番号でいうと真ん中よりは早い番号で、ギターアンプのあった上手側の割と前の方に陣取っていた。前述のようにアナウンスされていたギタリストはゲストの大塚さんひとりだったのだけど、ステージ上にはギターアンプがもう1台並び、またスタッフさんが明らかに大塚さんのではないヘッドレスギターのセッティングをしている様子も少し見えたので、もうひとりシークレットで誰かギタリストが出演するのだろうなぁと思いながら開演を待っていた。

ライブは Afterglow の That Is How I Roll! から始まった。流石に前の方は結構押し合いでぎゅっとなったんだけど、それでも苦しくなることはなくて楽しく揉まれていられる程度だったので楽しくヘトヘトになれた、というのが今回のスタンディングの感想だった。また、上手側はつまりギター側なんだけど、大塚さんのステージ上での所作、表情が本当にすぐそこで克明に見えて、これはこのサイズのライブハウス様々だな、と思った。ギターを弾く姿は勿論、MCで話すところ(ゲストという位置づけだったけど、曲紹介を中心にかなりたくさん喋ってた)、客席を煽るところなど、 Poppin'Party としてはすっかり大きいステージの人になってしまっただけに新鮮かつ強烈だった。僕たちはたしかにステージを「見て」いる観客だったのだけれど、すぐ目の前のステージを見ている感覚は、さながら「会い」に来たとでも表現できるようなものだった。

セットリストは大塚さんのブログにあるように以下の通り。オリジナル曲1曲を除いて、予告通り全部ガルパの3バンドのカバー曲。ガルパライブでやった1stシングル収録曲に加えて2ndシングル曲もあり、いろんな曲を聴くことができた。オリジナルのバンドごとにガラッと雰囲気が変わり曲によってはボーカルも変わるということもあって、 Scarlet Sky の前以外ほぼ1曲ごとにMCを挟む構成だったけど、間延びを感じることもなくて充実していた。
ガルパライブではバックバンドだったのでボーカルはメンバー外だったけれど、今回は勿論ボーカルもバンド内だったので、こちらは THE THIRD となったことで初めて聞くことになった。メインボーカルは RAYCHELL さんで、カッコいい曲でカッコいいのは今更言及するのがバカバカしくなるくらい。ベースボーカルの姿と力強い歌声はすこくライブハウス映えしていた。Pastel*Palletes の曲と えがおのオーケストラっ!の合計4曲では倉知さんがボーカルを取った。倉知さんの歌とステージングもすごくよかった。平たく言うと可愛い曲では倉知さんがボーカルだったと言うことなんだけど、"かわいい系"の側でも ゆらゆら~ では2人の掛け合いボーカルが聞けたり、また ゴーカ!ごーかい!?~ では RAYCHELL さんがボーカルで大人っぽいカッコ良さで魅せたりと、単に原曲をトレースするだけではないカバーの華が輝いていた。

 *本日のセットリスト

 1.That Is How I Roll!(Afterglow)
 2.しゅわりん☆どり〜みん(Pastel*Palettes)
 3.パスパレボリューションず☆(Pastel*Palettes)

 4.えがおのオーケストラっ!(ハロー、ハッピーワールド!)

 5.Don't be afraid(Glitter Green)

 6.ゆら・ゆらRing-Dong-Dance(Pastel*Paletts)

 7.Hey-day狂騒曲(カプリチオ)(Afterglow)
 8.Scarlet Sky(Afterglow)

 9.ゴーカ!ごーかい!?ファントムシーフ!(ハロー、ハッピーワールド!)

 -ギター交代式-

 10.R.I.O.T(THE THIRD(仮)オリジナル)

 Enc 1.That Is How I Roll!(Afterglow)(5人ver.)
 Enc 2.R.I.O.T(THE THIRD(仮)オリジナル)(5人ver.)
THE THIRD(仮)ライブありがとうございました! | 大塚紗英オフィシャルブログ「おやすmistyの前に」Powered by Ameba

エモーショナルと新メンバーと新曲

上手側で大塚さんの様子がよく見えた、という話は既にしたけれど、ライブ後半ではエモーショナルな出来事が沢山あり、それをその距離感から目にすることができたのも忘れられない記憶になった。

ひとつは終盤の Scarlet Sky で、2番のサビで感極まって涙ぐむ様子や、そこからギターソロを泣き笑いながら弾く様子。言葉にされなかったことは想像することしかできないけど、ソロを弾く時の泣き笑いは、涙で上手く弾けないやと照れ隠しでもしてるように僕には見えた。後述するように大塚さんにとって最初で最後の THE THIRD のステージということでいろいろ去来するものがあっただろうと想像すると、終盤で歌詞のエモーショナルなこの曲は大塚さんの心に刺さったのかなぁと思う。

そしてもう一つ挙げるなら、今回の大きな出来事でもある、ギターの交代とその MC。大塚さんのブログの表現を借りるなら「交代式」のことだ。最初の方でも触れたように機材のセッティングの様子や元々ゲストという立ち位置だったということで想像はしていたけれど、大塚さんの THE THIRD のライブ参加は今回だけであることと正式メンバーとして小原さんが加入することが発表された。大塚さんの MC では、前述のブログにも書かれていたような、メンバーへのリスペクトとこのバンドの楽しさ、本職ミュージシャンに混じってギタリストとして参加することの葛藤、そしてバンドを掛け持つことでの Poppin'Party や花園たえとのバランスなど、胸の内が率直かつとても真摯に語られた。時折言葉に詰まりながら話す大塚さんの姿からは、普段 Poppin' Party としての人前ではあまり見せない、それでいてファンにとってはブログで時折垣間見えている繊細で誠実な人柄が真っ直ぐに伝わってきた。
この一連の MC で大塚さんも RAYCHELL さんも、大塚さんが THE THIRD を離れることを惜しみながらも、「また一緒にやろう」とは言わなかったところも印象的だった。正直リップサービス的に「またやりたい」と話しても許される場面だったけど、あくまでここで一区切りというのを崩さないところには潔さがあった。

その大塚さんと入れ替わる形でステージに現れたのは新メンバーの小原さん。後から調べて知ったのだけど、かつてアニメ SKET DANCE 発の The Sketchbook ってバンドで活動していたこともあるギタリストかつ声優さん、というこれまた稀な来歴の人だった。小柄でチャーミングな人だけれどギターの腕は勿論確か。後述するオリジナル曲で縦横に跳びながら、あるいはお立ち台の上でソロをバリバリに演奏する姿も素敵で、これは凄い新メンバーだ、と衝撃を受けてしまった。

このギタリスト交代までは全曲ガルパの曲のコピーだったんだけど、本編最後の1曲はこの日が勿論初披露の THE THIRD オリジナル曲の R.I.O.T だった。攻撃的なシンセサウンドに彩られた4つ打ちのゴリゴリにカッコいいこの曲とステージに揃った正式メンバー4人によって、この日のライブでカバー曲を通して描いてきた THE THIRD のイメージが一気に具体化して、「これが THE THIRD だ!」というインパクトを改めて受けた。

アンコール

そうしてライブ本編は終わりを迎えたのだけれど、会場に何度も起こったサードコールに呼び込まれてアンコール。勿論ライブをもっと味わいたいという気持ちがあってのアンコールだったんだけど、ぼくを含めた会場の少なくない人たちがきっと、この日限りで THE THIRD から離れてしまう大塚さんにもう少しだけ THE THIRD としてのステージに立たせてあげたいという気持ちでいたんじゃないかなと思う。
アンコールでは大塚さんと小原さんの2人のギタリストがステージに並んでの演奏で、上手側としてはこれもまたとても素敵な景色だった。2人で交代でリードパートを弾く姿や、 R.I.O.T では上手と中央のお立ち台に2人が立ってソロのリレー。小原さんと大塚さんの並ぶこのアンコールのステージは、もともと特別だったこのライブの中でもさらに特別な瞬間の思い出になった。

やや時系列が巻き戻るけど、このアンコールでは THE THIRD の次の活動の告知もあった。5月のバンドリ5thライブでのオープニングアクトと、7月にセカンドワンマンライブ。また、初披露だったオリジナル曲 R.I.O.T のデモ CD をこの日のライブ来場者に配布。 Poppin'Party の最初のファーストライブで*2 Yes! BanG_Dream! のデモ CD を配ったときと同様、1枚1枚に THE THIRD メンバー全員の直筆サインが入った CD をもらうことができた。

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ポエムと〆

熱気溢れるオールスタンディングで好きなコンテンツの曲ばかりが続くバンドライブで、おまけにいい位置取りでギタリストの姿を鮮明に目に焼き付けて帰れたのでとても、本当に楽しかった。事前に抱いていたここから何かが始まる第一歩になりそうな予感はまさにその通りで、バンド自体の鮮烈なインパクトに、正式メンバーが揃ってオリジナル曲が初披露されるという大事な一歩、そして、いわば0歩目だったガルパライブからここまで活動してきた大塚さんが THE THIRD から離れるという、産みの苦しみ的な別れにまとめて立ち会えたこのライブは紛れもなく宝物になった体験だった。 MC でも何度か触れられていたように、ファーストライブを経てなお THE THIRD にはリンクするキャラクターはなく、ここから先どうなるかもまだ分からないのだけれど、分からないからこそ、この日のライブから始まった旅路にワクワクする思いでいる。

そういう THE THIRD 自体への気持ちと全然別枠の話題として、改めてバンドリの広がりについても思いを馳せる機会だった。 Poppin'Party や Roselia の曲は1曲も披露しなかったライブだけれど、あの会場にいた皆がガルパのオリジナル曲を愛し熱狂しているのには胸が熱くなった、また、アニソンのカバーをライブの起点にしていたバンドリに対して、バンドリ曲のカバーをライブの起点にするスピンオフバンドが登場するというのは、螺旋が大きく渦を巻いて一周したようなふしぎな感慨があるなぁとも思っていた。
完全に個人的な事情なんだけど、最近バンドリの曲を自分でも演奏する機会があって、このライブでは演奏するために聞き込んだことでより愛着の湧いた曲でいっそう楽しめたし、逆に最近自分たちの演奏の瞬間にこのライブでの体験を思い出すこともあり、そういうタイミングの良いフィードバックループも味わえてお得な気持ちだった。

大塚さんが THE THIRD から離れることには勿論寂しいというか残念な気持ちもあるのだけれど、大きな苦労と努力の上で立った今回の素敵なステージを体感できたことの充足感は大きいし、ライブ内外で大塚さんの周辺の人たちが大塚さんについて語るコメントを見聞き*3するにつけ、何よりまずはおつかれさまでしたという思いでいる。大塚さんの今後の Poppin'Party での活躍も楽しみにしているし、また何らかの形で大塚さんご本人としての活動に触れる機会があったら良いなと思っている。

なかなか〆られないけどこのくらいで。
最後にひとつ書き残しておくと、オールスタンディングでTシャツが絞れるほど汗ビシャビシャになったあとにドリンクカウンターで飲むビールは最高に美味しかったです。

*1:その裏では沢山の人が落選してると思うので、そのことを思うとそんなにポジれないんだけど

*2:ぼくはそのライブにはいなかったので伝聞だけど

*3:脱線すると、ちょうど直前で愛美さんにラジオのお渡し会で直接お話しする機会があって、その際に大塚さんについての話を聞いたりしていた。これはマジで1対1で聞いた話なので自慢です。